お盆の精霊馬(なす・きゅうり)の意味は？地域による違いとスピリチュアルな視点も解説！

お盆の時期になると、日本の多くの家庭で見かける「精霊馬（しょうりょううま）」と「精霊牛（しょうりょううし）」。これらは、きゅうりとナスを使って作られた、ご先祖様があの世とこの世を行き来するための乗り物とされています。しかし、地域や宗派によってその意味や飾り方には違いがあることをご存知でしょうか？

この記事では、精霊馬の基本情報から、スピリチュアルな意味、地域や宗派による違いまでを詳しく解説します。

精霊馬とは

精霊馬とは、お盆の時期にきゅうりを馬、ナスを牛に見立てて作られる飾り物です。

これらは、ご先祖様があの世とこの世を行き来するための乗り物として、精霊棚や盆棚に飾られます。

きゅうりの馬は足が速く、ご先祖様が早くこの世に戻って来るための乗り物とされ、ナスの牛はゆっくりと帰るための乗り物とされています。

精霊馬のスピリチュアル的な意味

精霊馬には、ご先祖様を敬い、迎え入れるという日本人の精神が込められています。

スピリチュアルな観点から見ると、これらは単なる飾り物ではなく、祖先との繋がりを深めるための重要な役割を果たします。

きゅうりの馬は、速やかにご先祖様を迎え入れるための象徴であり、ナスの牛は、ゆっくりとした時間を共に過ごし、感謝の気持ちを伝えるための象徴とされています。これらの行為は、祖先からの知恵や加護を受けるためのスピリチュアルな儀式とも言えるでしょう。

精霊馬はいつ飾る？ー地域や宗派による違いー

地域による違い

・関東地方: 迎え盆の朝に精霊棚を作り、精霊馬や精霊牛を飾ります。送り盆が終わった後にこれらを処分します。

・北海道・東北地方・中部地方: 送り盆の時だけ飾り、その日のうちに処分します。

・西日本: 精霊馬や精霊牛の代わりに精霊船をお供えします。

・沖縄: サトウキビを飾り、あの世とこの世を行き来するご先祖様の杖とします。

宗派による違い

宗派によっても精霊馬の扱いは異なります。例えば、浄土真宗では精霊馬を飾らないことが一般的です。これは、浄土真宗が死後の世界を特別視しないためとされています。

精霊馬の作り方

精霊馬の作り方は以下の通りです。

必要な材料

• 新鮮なキュウリ1本
• 新鮮なナス1本
• 割り箸2膳（もしくは爪楊枝8本）

作り方

1. 材料の準備

• キュウリとナスをそれぞれ1本ずつ用意します。
• 割り箸を脚の素材として使用します。オガラという植物の茎を使うこともありますが、今回は割り箸を使います。

1. 割り箸のカット

• 割り箸を4等分に切ります。爪楊枝を使用する場合は8本用意します。
• 割り箸を脚の長さに揃えるため、印をつけてカッターで切ります。硬いので、慎重にカッターを使ってください。

1. 脚の取り付け

• キュウリとナスに脚を挿します。キュウリには前足と後ろ足にそれぞれ2本ずつ、ナスにも同様に挿します。
• キュウリは馬として、ナスは牛として見立てます。キュウリの馬はご先祖様が速く帰って来られるように、ナスの牛はゆっくりと戻れるように飾ります。

これで精霊馬の完成です。お盆の期間中に精霊棚に飾り、ご先祖様を迎え入れる準備を整えます。不器用な方や食材が傷むのを避けたい方は、ちりめん細工の精霊馬を使うこともできます。

精霊馬の飾り方

精霊馬は、一般的に精霊棚（盆棚）に飾るのが最適です。以下に詳細を説明します。

精霊馬を飾る場所

精霊棚（盆棚）

• 精霊馬は、精霊棚に飾るのが基本です。精霊棚は、ご先祖様が滞在する場所として特別に設けられた棚です。ここに精霊馬を飾ることで、ご先祖様を迎え入れる準備が整います。

精霊馬を飾る向き

• 精霊馬は、迎え盆（盆入り）の際には内向きに飾ります。これは、ご先祖様が速やかに家に戻って来られるようにという願いを込めたものです。
• 送り盆（盆明け）には、精霊牛（ナスで作った牛）を外向きに飾ります。これは、ご先祖様があの世に帰る際にゆっくりと帰れるようにという願いを込めています。

このように、精霊馬と精霊牛は迎え盆と送り盆で向きを変えて飾るのが一般的です。ただし、地域によっては逆に飾ることもあるため、地域の習慣に従うことが大切です。

精霊馬を飾る位置

• 精霊馬と精霊牛は、精霊棚の右側に置くのが一般的です。また、精霊棚がない場合は、机や台などで代用することも可能です。

精霊馬は、精霊棚に飾ることでご先祖様を敬い、迎え入れる役割を果たします。飾る向きや位置にも意味があり、地域によって異なる場合もあるため、地域の習慣に従うことが大切です。

精霊馬の処分方法

精霊馬の処分方法については、以下のような方法があります。

1. 土に埋める

• 自宅の庭や敷地内に埋めることができる場合は、精霊馬を土に埋めるのが一般的です。これは、自然に還すという意味合いがあります。

1. お塩で清めて捨てる

• 誰にでもできる方法として、精霊馬を白い紙や半紙に包み、お塩をかけて清めた後、一般のゴミとして捨てる方法があります。処分する際には、精霊馬のお役目に感謝し、手を合わせると良いでしょう。

1. お寺に依頼する

• お寺に処分を依頼することも可能です。お寺では「お焚き上げ」として供養してもらえる場合があります。

1. お盆の飾りと一緒に燃やす

• 送り火の際に、他のお盆飾りと一緒に燃やす方法もあります。ただし、これを行う際には地域の条例などに注意が必要です。

以前は川や海に流す方法もありましたが、環境問題や条例の関係で禁止されている地域が多くなっています。そのため、現代では上記のような方法が推奨されています。

地域の慣習や環境に配慮して、適切な方法で処分してください。

まとめ

お盆の精霊馬（きゅうりとナス）は、ご先祖様を敬い、迎え入れるための大切な儀式です。

地域や宗派によってその意味や飾り方には違いがあるものの、共通しているのは祖先との繋がりを大切にする心です。スピリチュアルな視点から見ると、精霊馬を通じて祖先からの知恵や加護を受けることができると考えられています。

お盆の時期には、ぜひ精霊馬を飾り、ご先祖様との絆を深めてみてはいかがでしょうか。